ITストラテジスト 科目B-1(記述式)攻略ガイド|問題文の読み方と解答テクニック
科目B-1(記述式)とは
科目B-1は、ITストラテジスト試験の3番目の科目で、IT戦略に関するケーススタディを読み解き、分析結果や提案を簡潔に記述する試験です。科目B-2(論述式)が自身の実務経験に基づいて論文を書くのに対し、科目B-1は問題文を正確に読解し、制限字数内で的確に答える力が問われます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 90分(12:30〜14:00) |
| 出題数・解答数 | 出題3問・解答2問(自分で選択) |
| 形式 | 記述式(短文記述、20〜50字程度が中心) |
| 合格基準 | 100点満点中60点以上 |
メモ: 令和6年度(2024年度)から出題数が4問→3問に変更されました。選択の自由度は下がりましたが、3問中2問選択なので、自分が解きやすい問題を選ぶ戦略は引き続き重要です。
科目B-1の難易度と位置づけ
ITストラテジスト試験は多段階選抜方式を採用しており、科目B-1で60点未満の場合、科目B-2(論述式)は採点されません。つまり、科目B-2が最大の壁とはいえ、科目B-1を突破しなければ論述の土俵にすら立てないのです。
令和7年度春期の各科目の通過率を見てみましょう。
| 科目 | 通過率(令和7年度春期) |
|---|---|
| 科目A-2(旧午前II) | 87.8% |
| 科目B-1(旧午後I) | 62.0% |
| 科目B-2(旧午後II) | 33.9% |
科目A-2は87.8%と高い通過率ですが、科目B-1になると62.0%に低下します。約4割の受験者がこの段階で脱落しています。科目A群のような暗記型の知識だけでは太刀打ちできず、長文を読み解いて要点を的確に記述するスキルが求められるためです。
メモ: 科目B-1の通過率62.0%は「簡単」ではありません。科目A-2を突破した受験者の中で4割が落ちるという意味であり、知識はあるのに読解・記述で失敗する受験者が多いことを示しています。
出題形式と問題構造
ケーススタディ形式
科目B-1の各問題は、問題用紙3〜4ページにわたる長文のビジネスシナリオ(ケーススタディ)で構成されています。ある企業のIT戦略に関する状況が描かれ、それに対する分析や提案を設問で問われます。
問題文の構造
問題文は以下のような構造で組み立てられています。
| 部分 | 内容 | 注目ポイント |
|---|---|---|
| 冒頭 | 企業概要・事業特性・市場環境 | SWOT分析の要素(強み、弱み、機会、脅威)を把握 |
| 中盤 | 現状の課題・ニーズ・問題点 | 設問の解答根拠となるキーワードが集中 |
| 後半 | 対応策・施策・今後の方針 | 下線部(①②③...)が設問と直結 |
問題文は〔見出し〕で区切られており、例えば〔Y社の成長戦略と市場調査〕〔成長戦略の実現方法〕〔新サービスの開発〕のように、ストーリーの流れに沿って構成されています。
設問の構造
設問は階層的に構成されています。
- 設問1: 独立した問い(例: 「市場ニーズを40字以内で答えよ」)
- 設問2: リード文+小問群
- 設問2-1: 「業務提携の目的を20字以内で答えよ」
- 設問2-2: 「異常検知・通知サービスの提供について...」
- 設問2-3: 「U社と業務提携するメリットを...」
- 設問3: リード文+小問群(同様の構造)
解答は20〜50字程度の短文記述が中心です。長い論述ではなく、ポイントを絞って簡潔に答えることが求められます。
メモ: 「解答は問題文の中にある」 ——これが科目B-1の最重要原則です。自分の知識で創作するのではなく、問題文中のヒントを正確に抽出・編集して解答を作ります。
問題文の読み方
王道のアプローチ
科目B-1で多くの受験者が陥る失敗は、「設問を読んでから問題文の中を探し回る」というやり方です。これでは問題文の全体像が把握できず、正確な解答が導けません。
効果的なのは、問題文から設問へマッピングする逆向きアプローチです。
ステップ1: 設問にざっと目を通す(2〜3分)
何が問われるかを大まかに把握します。この段階では解答を考える必要はありません。「こういう種類のことが聞かれるのだな」とイメージするだけで十分です。
ステップ2: 問題文を頭から読む(15〜20分)
問題文を丁寧に読みながら、以下の要素をマーキングします。
- 課題・問題点: 「〜が課題である」「〜が問題となっている」
- ニーズ: 「〜したいという声が多い」「〜が求められている」
- 目的・狙い: 「〜を目指す」「〜のために」
- 対応策・施策: 「〜を実施する」「〜こととした」
ステップ3: 課題と設問を紐付ける(読みながら同時進行)
読み進めながら、マーキングした要素が「どの設問に対応するか」を頭の中で紐付けていきます。問題文中に既に対策が書かれている項目は、設問の直接の答えにはならない可能性が高いです。
ステップ4: 解答を作成する(残り時間)
紐付けた情報をもとに、制限字数内で解答を組み立てます。
読解のポイント
〔見出し〕を活用する:
問題文は〔〕で囲まれたセクション見出しで区切られています。各セクションが何について述べているかを把握することで、設問との対応関係が見えやすくなります。
冒頭の企業概要を正確に押さえる:
企業の事業内容、市場環境、強み・弱みは、後続の設問を解くための前提条件です。ここを読み飛ばすと、的外れな解答になりかねません。
下線部の前後に注目する:
下線部(①②③...)が引かれている箇所は、そのまま設問に対応しています。下線部の直前・直後の文脈に、解答の根拠となる情報が含まれていることが多いです。
登場人物・企業の関係を整理する:
複数の企業や部門が登場する場合、それぞれの役割と関係性を把握しておきましょう。「どの立場から答えるのか」を間違えると、正しい情報を見つけていても不正解になります。
解答テクニック
1. 問題文の言葉をそのまま使う
最も重要なテクニックです。解答は問題文中の表現を活用して組み立てます。自分の言葉で言い換えたり、専門用語を別の表現に置き換えたりすると、採点者の想定する解答とずれるリスクがあります。
問題文に「迅速な市場参入が必要」とあれば、解答にも「迅速な市場参入」というフレーズをそのまま使います。
3. 設問の聞き方に合わせた語尾
| 設問の聞き方 | 解答の語尾 |
|---|---|
| 「〜を述べよ」「〜を答えよ」 | 「〜こと」「〜である」 |
| 「理由を述べよ」「なぜか」 | 「〜ため」「〜から」 |
| 「目的を述べよ」 | 「〜ため」 |
| 「どのようなものか」 | 「〜もの」「〜こと」 |
語尾を統一することで、設問の要求に正確に応えていることが伝わります。
4. 因果関係を明示する
解答では**「原因→結果」の因果関係**を明確にします。問題文中の課題とその対応策の関係を、制限字数内で論理的につなげましょう。
- NG: 「市場参入する」(何のために?が不明)
- OK: 「競合に先んじて迅速に市場参入するため」(因果が明確)
5. 複数要素の漏れに注意する
設問が「AとBを含めて答えよ」「AとともにBを述べよ」のように複数の要素を求めている場合は、すべての要素を盛り込む必要があります。1つでも漏れると大幅な減点対象です。設問文を読む際は、「何を」「いくつ」答える必要があるかを慎重に確認しましょう。
メモ: 解答に迷ったときは、問題文に立ち返りましょう。科目B-1の解答は、あなたの知識や意見ではなく、問題文中の情報に基づいて導くものです。
時間配分と問題選択の戦略
90分の時間配分
| 時間帯 | 所要時間 | やること |
|---|---|---|
| 0:00-0:10 | 10分 | 3問すべての設問をざっと読み、解答する2問を選択 |
| 0:10-0:50 | 40分 | 1問目を解答(問題文の読解+全設問の解答) |
| 0:50-1:25 | 35分 | 2問目を解答(同上) |
| 1:25-1:30 | 5分 | 全体の見直し(誤字脱字、字数、要素の漏れ) |
1問あたり約40分が目安です。問題文の読解に15〜20分、解答の作成に15〜20分という配分を意識しましょう。
問題選択の基準
最初の10分で3問の設問に目を通し、2問を選びます。問題文を全部読む必要はなく、設問だけ読んで判断します。
選ぶべき問題:
- 設問を読んだだけで「答えのイメージが湧く」問題
- 自分の業務知識やIT戦略の知見に近いテーマ
- 設問と問題文の対応が明確で、1対1の紐付けがしやすそうな問題
避けた方がよい問題:
- 組込みシステムやIoT製品の開発系テーマ(経験がないと取り組みにくい)
- 設問の聞き方が抽象的で、何を答えるべきか見えにくい問題
問題選択に迷ったら:
10分以内に決まらない場合は、「設問の数が少ない方」「設問1が簡単そうな方」で仮決定し、すぐに着手しましょう。選択に時間をかけすぎるのは致命的です。
時間が足りなくなった場合
- 空欄は絶対に作らない: 部分点が狙えます。問題文の関連箇所をそのまま引用してでも何か書きましょう
- 後半の設問は簡潔に: 時間がなければ最低限のキーワードだけでも記述する
- 1問目に時間をかけすぎない: 40分を超えたら切り上げて2問目に移る勇気が大切です
メモ: 2026年度からCBT方式への移行が予定されています。キーボード入力になれば字数の調整は楽になりますが、問題文を画面上で読む練習は事前に行っておきましょう。
効果的な勉強法
ステップ1: 過去問を1年分通しで解く
最初に直近1年分の過去問を90分で通して解きます。正解・不正解より、出題形式と問題の感覚をつかむことが目的です。時間内に解き切れるか、問題文のどこに手がかりがあるかを体感しましょう。
ステップ2: 解説を徹底的に読み込む
解いた後は、解説を丁寧に読みます。自分の解答と模範解答の差分を分析し、以下の点を確認します。
- 問題文のどの部分が解答の根拠だったか
- 模範解答はどのように問題文の表現を活用しているか
- 自分が見落としていた要素は何か
この「振り返り」が最も学習効果の高いプロセスです。
ステップ3: 問題文の読み方を訓練する
問題文から課題・ニーズ・対応策を抽出し、設問にマッピングする練習を繰り返します。最初は時間を気にせず、正確に読み取る力を優先しましょう。
- 問題文を読みながらマーキング(課題、ニーズ、対応策)
- マーキングした箇所と設問の対応関係を確認
- 模範解答と照合して、読み取りの精度を検証
ステップ4: 時間を計って演習を繰り返す
読み取りの精度が上がってきたら、90分の時間制限をつけて演習します。過去5年分(令和3年〜令和7年)を目安に取り組みましょう。回を重ねるごとに、問題文の構造パターンが見えてくるようになります。
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科目A群との並行学習
科目B-1の問題文にはIT戦略の専門用語が頻出します。BPR、ERP、EA、BSC、KPI/KGI、ROI、DXといった用語の意味と使い方を理解しておくことが、読解スピードの向上に直結します。科目A-2の過去問演習で知識の基盤を固めながら、科目B-1の演習を進めるのが効率的です。
メモ: 科目B-1の問題読解力は、科目B-2(論述式)の出題文理解にも直結します。B-1対策で鍛えた「問題文から要点を抽出する力」は、B-2で論述の方向性を定める際にも活きるので、B-1とB-2の対策は相互に補完し合います。
まとめ
科目B-1(記述式)は、「問題文を正確に読み解き、制限字数内で的確に答える」試験です。通過率62.0%は決して楽な関門ではありませんが、正しい読み方と解答テクニックを身につければ着実に突破できます。
合格への3つの鍵:
- 読解力: 問題文から課題・ニーズ・対応策を正確に抽出する
- 記述力: 問題文の表現を活用し、制限字数内で過不足なく答える
- 時間管理: 90分で2問を確実に解き切る配分を身につける
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- 科目A-2(四択問題)の過去問演習 — IT戦略の知識基盤を固める
- 科目B-2(論述式)攻略ガイド — 最終関門の論述対策
- ITストラテジスト試験の概要 — 試験全体の情報
この記事を書いた人
シカクネコ
情報処理技術者試験を中心に、IT・ビジネス系資格の学習法や試験対策についてわかりやすく発信しています。実際の受験経験をもとに、効率的な勉強法をお届けします。
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