ITストラテジスト試験(ST)概要【2026年最新版】
どんな試験?
ITストラテジスト試験(ST)は、IPA(情報処理推進機構)が実施する高度情報処理技術者試験(レベル4)の一つで、IT戦略分野の最高峰に位置づけられる国家試験です。経営戦略に基づいたIT戦略の策定・推進、情報化投資の企画・評価、業務改革(BPR)の推進など、経営とITを結びつける高度な能力が問われます。
他の高度試験(DB、NW、SC等)が特定の技術領域の深い専門知識を問うのに対し、ITストラテジストは技術と経営の両面を俯瞰する力が求められる点が大きな特徴です。CIOやCTO、ITコンサルタントなど上級マネジメント層を主なターゲットとしており、受験者の約70%が実務経験10年以上とされています。
メモ: 2026年度(令和8年度)からCBT(Computer Based Testing)方式へ移行予定です。出題形式・試験時間は従来踏襲の見込みです。
試験の基本情報
- 試験名: ITストラテジスト試験(IT Strategy Examination)
- 実施機関: IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)
- 区分: 高度情報処理技術者試験(レベル4)
- 実施時期: 毎年 春期(4月)に年1回実施。ただし令和8年度(2026年度)はCBT移行に伴い試験日程が未発表です。詳しくは「2026年度の情報処理技術者試験はどうなる?」をご覧ください
- 受験料: 7,500円(税込)
合格率の推移
ITストラテジスト試験の合格率は例年15%前後で安定しています。受験者数は年々増加傾向にあり、令和7年度は5,500人以上が受験しました。
| 年度(期) | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度(春期) | 7,889 | 5,586 | 836 | 15.0% |
| 令和6年度(春期) | 7,486 | 5,327 | 842 | 15.8% |
| 令和5年度(春期) | 7,040 | 4,972 | 769 | 15.5% |
| 令和4年度(春期) | 6,378 | 4,450 | 660 | 14.8% |
| 令和3年度(春期) | 5,669 | 3,783 | 579 | 15.3% |
受験者の約85%が不合格となる難関試験です。論述式を含む他の高度試験区分(PM、SA、SM、AU)も同水準の合格率であり、論述の壁が全体の合格率を押し下げている構造は共通しています。
取得メリット
- 最高峰の証明: IT戦略分野における最上位レベルの国家資格です。経営とITの両方を理解する人材であることを公的に証明できます
- キャリアアップ: CIO/CTO、ITコンサルタント、経営企画部門の要職など、上流工程・経営層へのキャリアパスが開けます
- 中小企業診断士試験の一部免除: 中小企業診断士試験の「経営情報システム」科目が免除されます。ダブルライセンスを目指す場合に有利です
- 待遇改善: 企業によっては資格手当や昇給・昇格の要件に採用されています
- 戦略的思考力の体系化: 実務で断片的に培ってきた戦略的知識を体系的に整理できます
対象者像と出題範囲
CIO・CTO候補やITコンサルタントなど、経営戦略に基づいてIT戦略を策定・推進し、情報化投資や業務改革をリードできる上級人材を対象としています。
出題範囲は、経営戦略・IT戦略の立案、情報化投資の企画・評価、業務改革(BPR)、エンタープライズアーキテクチャ(EA)、新技術の活用戦略、ITガバナンスなど多岐にわたります。詳細はIPAの試験要綱・シラバスを参照してください。
試験の科目構成と出題形式
| 区分 | 出題形式 | 試験時間 | 出題数・解答数 |
|---|---|---|---|
| 科目A-1試験(旧午前I) | 多肢選択式(四択) | 9:30~10:20(50分) | 出題30問・解答30問 |
| 科目A-2試験(旧午前II) | 多肢選択式(四択) | 10:50~11:30(40分) | 出題25問・解答25問 |
| 科目B-1試験(旧午後I) | 記述式 | 12:30~14:00(90分) | 出題3問・解答2問 |
| 科目B-2試験(旧午後II) | 論述式 | 14:30~16:30(120分) | 出題2問・解答1問 |
科目B-2(旧午後II)は他の多くの高度試験が「記述式」であるのに対し、ITストラテジストでは論述式です。自身の実務経験をもとに、120分で2,000字以上の論文を書き上げる形式で、これが合格への最大の壁となっています。
科目A-1試験(旧午前I)の免除制度
以下のいずれかに該当する場合、科目A-1試験が2年間免除されます。
- 応用情報技術者試験(AP)に合格
- いずれかの高度試験に合格
- いずれかの高度試験の科目A-1試験(旧午前I試験)で基準点以上の成績を得る
免除を受けると、試験当日は科目A-2試験から受験できます。令和7年度の受験データでも、午前I受験者(2,030人)は全受験者(5,586人)の約36%にとどまっており、大半の受験者が免除制度を利用しています。
各科目の通過率(令和7年度春期)
令和7年度春期試験の得点分布・評価ランク分布から、各科目の通過率を算出しました。
| 科目 | 受験者数 | 通過者数 | 通過率 | 通過基準 |
|---|---|---|---|---|
| 午前I試験 | 2,030 | 1,176 | 57.9% | 60点以上 |
| 午前II試験 | 4,608 | 4,045 | 87.8% | 60点以上 |
| 午後I試験 | 3,993 | 2,474 | 62.0% | 60点以上 |
| 午後II試験 | 2,466 | 836 | 33.9% | ランクA |
午後II試験(論述式)の通過率が33.9%と圧倒的に低く、合格への最大のボトルネックです。一方、午前II試験は通過率87.8%と高く、過去問対策で十分に突破できる科目です。
科目ごとの対策
科目A-1・科目A-2対策(四択問題)
過去問演習が最も効率的です。特に科目A-2は出題範囲が経営戦略・IT戦略に特化しており、再出題率が高いため、繰り返しの演習で確実に得点できます。科目A-1は応用情報技術者試験と共通の出題範囲なので、AP等に合格済みであれば免除制度を活用しましょう。
科目B-1対策(記述式)
IT戦略に関するケーススタディを読み解き、分析結果や提案を簡潔に記述する問題です。問題文は長文(数ページ)ですが、解答は30~50字程度の短文記述が中心です。
-
過去問を繰り返し解く: 出題パターンを把握し、問題文の読み方と解答の導き方を身につけましょう
-
問題文から根拠を見つける力: 解答は問題文中のヒントに基づくことが多いです。根拠を正確に特定する練習を重ねましょう
-
制限字数内で要点を伝える練習: 限られた字数で的確に表現する訓練が重要です
-
科目B-2対策(論述式)
通過率33.9%の最大の壁です。以下の3つの力が求められます。
1. 実務経験の棚卸し
論述では自身の実務経験を題材にします。「IT戦略の立案」「業務改革の推進」「情報化投資の評価」など、出題テーマに沿ったエピソードを複数準備しておきましょう。
2. 論述文の構成力(型を身につける)
論述文には定番の構成があります。
- 設問ア(800字以内): 背景・状況の説明です。組織概要、課題、自身の役割を簡潔に記述します
- 設問イ(800字以上1,600字以内): 本論です。具体的な施策、工夫、判断のプロセスを詳述します
- 設問ウ(600字以上1,200字以内): 評価と改善です。取り組みの成果、反省点、今後の課題を述べます
この「型」を過去問で繰り返し練習し、どんなテーマでも安定して書けるようにしましょう。
3. 時間配分の練習
120分で2,000字以上を書くには、十分な練習が必要です。本番を想定した時間内の通し練習を必ず行いましょう。
科目B-2の詳しい攻略法は「科目B-2(論述式)攻略ガイド」で解説しています。設問ごとの書き方、ネタ準備法、時間配分、不合格パターンなどを網羅しています。
まとめ
ITストラテジスト試験は、経営とITの両方を俯瞰できる人材を認定する最高峰の国家資格です。合格率は約15%、特に午後IIの論述式(通過率33.9%)が合否の分かれ目です。科目Aは過去問演習で確実に得点し、科目Bは実務経験の棚卸しと論述の型の習得に注力しましょう。
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この記事を書いた人
シカクネコ
情報処理技術者試験を中心に、IT・ビジネス系資格の学習法や試験対策についてわかりやすく発信しています。実際の受験経験をもとに、効率的な勉強法をお届けします。
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