
2026年度の情報処理技術者試験はどうなる? CBT化・試験延期の現状と今後の見通し
はじめに
2025年8月、IPA(情報処理推進機構)は応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験を 2026年度からCBT(Computer Based Testing)方式に移行する と発表しました。
さらに2025年12月には、経済産業省から 2027年度に試験区分そのものを大幅再編する 方針も示されています。
一方で、2026年2月現在、令和8年度の 試験日程・申込開始時期ともに一切発表がありません。例年であれば1月中旬には春期試験の案内と申込受付が始まっていたことを考えると、異例の事態です。
本記事では、公式に発表されている情報を整理したうえで、受験者目線での課題と今後の見通しを考察します。
2026年度 CBT方式への移行(公式発表)
対象試験
IPAの公式発表によると、以下の試験区分がCBT方式に移行予定です。
- 応用情報技術者試験(AP)
- 高度試験 9区分(ST・SA・PM・NW・DB・ES・SM・AU相当)
- 情報処理安全確保支援士試験(SC)
令和8年度(2026年度)に実施する試験からは、ペーパー方式での実施からCBT方式での実施に移行する予定です。
変わること・変わらないこと
IPAは「知識・技能の範囲そのものに変更はない」と明言しています。出題形式(多肢選択式・記述式・論述式)、出題数、試験時間もペーパー方式と同じです。
なお、これら試験区分で問う知識・技能の範囲そのものに変更はありません。
また、出題形式(多肢選択式・記述式・論述式)、出題数及び試験時間も同様に変更はありません。
主な変更点は以下の3つです。
| 項目 | 変更内容 |
|---|---|
| 科目名称 | 「午前試験 → 科目A試験」「午後試験 → 科目B試験」等に変更 |
| 試験日程 | 春期・秋期 各1日 → 一定期間内の複数日から選択可能に |
| 解答方式 | 筆記 → キーボード入力(記述・論述問題含む) |
科目A群と科目B群でそれぞれ別の受験期間(複数日)が設けられ、全国の試験センターの空き時間から任意に予約できる方式になります。

科目名称の対応表
| 現行名称 | CBT移行後 |
|---|---|
| 午前試験 | 科目A試験 |
| 午後試験 | 科目B試験 |
| 午前I試験 | 科目A-1試験 |
| 午前II試験 | 科目A-2試験 |
| 午後I試験 | 科目B-1試験 |
| 午後II試験 | 科目B-2試験 |
なお、科目A-1試験(旧午前I)の免除制度はそのまま継続されます。
CBT化のメリット
- 日程の柔軟性: 複数の試験日から都合に合わせて選択できる
- 記述・論述の編集が容易に: 文章の挿入・削除・書き直しがキーボードで手軽にできる。消しゴムで何度も消して書き直すストレスから解放される
- 科目A(多肢選択式)の即時採点: 科目Aの結果を踏まえて科目Bを受験するか判断できる。科目Aが不合格なら科目Bを受ける必要がなくなり、特に論述試験のような高負荷な受験を無駄に行わなくて済む。また、科目Aと科目Bを別日に受験できるため、1日に長時間拘束される負担も軽減される
2027年度 試験区分の大幅再編(検討案)
2025年12月、経済産業省は 2027年度から試験体系を大幅に見直す検討案 を公表しました。
主な再編内容
- 応用情報技術者試験と高度試験を統合: 現行の「応用情報 + 高度9区分」を 「プロフェッショナルデジタルスキル試験」(仮称) として3領域・3試験に再編
- 3つの領域: マネジメント・監査領域、データ・AI領域、システム領域
- フルスタック認定: 3領域すべてに合格すると認定
- データマネジメント試験(仮称)の新設: 非エンジニア向けの新試験
また、再編後の試験はCBT方式に適した出題方式へ見直すことも検討されています。つまり、2027年度の新体系では出題形式自体が変わる可能性があるということです。
2026年度は "最初で最後の現行CBT"
ここで問題となるのが、2027年度に試験区分が再編されるのであれば、2026年度は現行の試験区分でCBTを実施する最初で最後の年 になるということです。
わずか1年のためにCBT対応のシステム開発・問題準備を行うことの費用対効果については、疑問の声が上がっています。
現状:2026年2月、いまだ試験日程の発表なし
例年のスケジュールとの比較
例年、情報処理技術者試験のスケジュールは以下のように進行していました。
| 時期 | 例年の動き |
|---|---|
| 1月中旬 | 春期試験の案内・申込受付開始 |
| 2月中旬 | 申込締切 |
| 4月第3日曜日 | 春期試験実施 |
| 7月上旬 | 秋期試験の案内・申込受付開始 |
| 10月第2日曜日 | 秋期試験実施 |
2026年2月現在、IPAの公式サイトには以下のように記載されています。
申込み受付期間や試験実施期間等は決まり次第、ウェブページでお知らせします。
今回公表した情報は現時点での予定であり、今後変更となる可能性もあります。
つまり、試験を実施するとは言っているが、いつ実施するかは決まっていない(あるいは公表できない) という状態です。
基本情報・情報セキュリティマネジメント・ITパスポートも一時休止
通年でCBT実施されている基本情報技術者試験・情報セキュリティマネジメント試験・ITパスポート試験についても、2026年4月27日以降の試験実施が一時休止 となることがIPAから発表されています。理由は「システムリプレース、委託先事業者との契約更新等」とされており、休止期間は1か月程度の予定です。
CBT方式で実施するITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験及び基本情報技術者試験における2025年4月26日以降の受験申込みに関する重要なお知らせ
―― IPA「重要なお知らせ」
CBTシステム自体が刷新される過渡期にあることがうかがえます。
CBT化における技術的課題
過去問演習プラットフォームの開発者としての視点からも、今回のCBT化には構造的な難しさがあると感じています。
問題漏洩対策の壁
従来のペーパー方式では、全国一斉に同じ日時で同じ問題を出題していたため、問題の漏洩リスクは限定的でした。しかしCBT化により複数日程で実施することになると、先に受験した人から問題内容が漏れるリスク が生じます。
一般的なCBT試験では、この対策として 大量の問題をプールしてランダムに出題する 方式が取られます。ITパスポートや基本情報技術者試験はこの方式で運用されています。
しかし、応用情報・高度試験ではこの手法が通用しにくい構造があります。
- 多肢選択式(科目A): 大量の問題プールを準備することは比較的容易
- 記述式(科目B-1): 品質の高い長文のケーススタディ問題を大量に準備することは困難
- 論述式(科目B-2): 適切な難易度・テーマの論述問題を大量に用意するのは非現実的
特に記述式・論述式では、問題ごとの難易度を均一に調整する必要もあり、1年限りの使用のために十分な問題プールを準備するのは現実的ではありません。
試験形式の完全再現の難しさ
IPAは「出題形式・出題数・試験時間に変更はない」と表明していますが、ペーパー方式と同じ形式をCBTで完全に再現するのは設計上かなりの困難が伴います。
午後試験(科目B)では、単純なテキスト入力では対応できない出題形式が複数存在します。たとえば、データベーススペシャリスト試験や応用情報技術者試験ではER図(Entity-Relationship図)を手書きで記載する問題が定番 となっています。エンティティ間のリレーションやカーディナリティを図として表現する必要があり、これをキーボード入力だけで再現するのは容易ではありません。CBT上で忠実に再現しようとすれば、図形描画ツールや専用のUIコンポーネントの開発が必要となり、システム開発の工数は大幅に増加します。
もし図形問題を廃止して文字ベースのみに変更するのであれば、「出題形式に変更はない」というIPAの表明との整合性が問われることになります。この点は、今後の発表で注目すべきポイントです。
今後のシナリオ予想
現時点で公式発表はありませんが、考えられるシナリオをいくつか整理します。
シナリオ1: 時期をずらしてCBTで実施
春期を6月頃、秋期を12月頃のように従来より後ろにずらし、CBT方式で実施するパターンです。受験者にとっては 最も望ましいシナリオ と言えます。準備期間が確保でき、CBTの趣旨にも沿っています。
ただし、上述の問題漏洩対策や試験システムの準備が間に合うかという懸念が残ります。
シナリオ2: 時期をずらしつつペーパー方式で実施
CBTにこだわらず、従来どおり大学等の会場でペーパー方式(PBT)で実施するパターンです。試験時期は春期・秋期からずれる可能性がありますが、運営上のリスクは最も低いと考えられます。
個人的には、このシナリオが 最も現実的 ではないかと考えています。CBT化は2027年度の新体系で、試験内容自体をCBTに対応しやすい形式に定義し直して改めて対応すればよく、2026年度は確実に試験を実施すること自体に価値があるからです。
シナリオ3: 2026年度は実施見送り
最も受験者にとって望ましくないシナリオです。2027年度の再編まで試験を実施しないというパターンですが、受験者のキャリアへの影響が大きく、情報処理安全確保支援士の登録更新に試験合格が必要な受験者もいるため、可能性は低いと考えます。
受験者へのアドバイス
現状の不透明な状況下でも、受験者にできることはあります。
過去問演習を中心に学習を続ける
どのシナリオになっても、試験範囲の知識そのものに変更はないとIPAが公式に表明しています。過去問を中心とした対策はそのまま有効です。むしろ、試験日程が不透明な今こそ、いつ試験が実施されても対応できるよう、日頃から演習を積み重ねておくことが重要です。
シカクテックでは、応用情報技術者試験・高度試験の過去問をWeb上で演習できます。四択問題はもちろん、記述式・論述式もAIによる自動採点・添削つきで学習できます。
PC画面での演習に慣れておく
CBT方式では、問題文の読解から解答の入力まですべてPC上で行います。紙の問題集で学習してきた方は、PC画面上で長文を読んで解答する練習 を意識的に行っておきましょう。これは2026年度のCBT化だけでなく、2027年度の新体系でも求められるスキルです。
Web上の過去問演習サービスを活用すれば、CBT方式に近い環境で日常的に練習できます。春期に実施される試験区分の演習は以下から始められます。
まとめ
2026年度の情報処理技術者試験は、CBT化と2027年度の試験区分再編という2つの大きな変革の間に挟まれ、先行きが不透明な状況にあります。CBT化のページでも以下のような記載があり、本当にCBT化されるのかさえも曖昧な状態です。
今回公表した情報は現時点での予定であり、今後変更となる可能性もありますので、ご了承ください。
試験実施期間や申込受付開始時期などの詳細については、決まり次第、ウェブページでお知らせします。
2月現在で試験日程の発表すらないという異例の事態に対し、受験者が不安を感じるのは当然のことです。
ただし、試験で問われる知識・技能の範囲に変更はない というIPAの方針は明確です。どのような形式で実施されるにせよ、いま取り組んでいる学習は無駄にはなりません。公式発表を注視しつつ、着実に準備を進めていきましょう。
シカクテックでは、全試験区分の過去問をオンラインで演習できます。AI質問・採点・添削で効率よく合格を目指しましょう。
この記事を書いた人
シカクネコ
情報処理技術者試験を中心に、IT・ビジネス系資格の学習法や試験対策についてわかりやすく発信しています。実際の受験経験をもとに、効率的な勉強法をお届けします。
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