K 社は,医薬品メーカであり,医薬品の研究開発や製造を行っている。K 社の研究部には,研究開発を専門に行う従業員(以下,研究職員という)がおり,貸与された PC を使用して研究開発を行っている。
K 社の情報システム部は,社内システムの開発,保守,運用,及びサービスマネジメントを行っている。社内システムの一つに研究開発管理システムがあり,研究開発管理サービスとして研究職員にサービスを提供している。情報システム部は,研究開発管理サービスのサービスデスクの機能の一部を,L 社に外部委託している。L 社が行うサービスデスクの機能を図 1 に示す。
図 1 L 社が行うサービスデスクの機能
K 社研究職員から,対象とするサービスに関する問合せ,パスワード変更など(以下,これらをサービス要求という)を電話又は電子メールで受け付ける。
注1) L 社は,K 社情報システム部が作成したサービス要求の実現方法についての指示書をノウハウデータベースに登録している。
2) サービス要求の実現とは,例えば,サービス要求が問合せの場合は回答を行うことであり,サービス要求がパスワードの変更要求の場合は変更を行うことである。
3) 電子メールを受信した情報システム部は,サービス要求の対応をサービスデスクから引き継ぎ,サービス要求を実現する。
〔新規システムの開発〕
K 社の研究職員が作成した論文や研究資料は,これまで K 社内のファイルサーバに保管していたが,研究開発の効率向上のため,研究職員が自ら論文や研究資料を登録し,研究部内の論文や研究資料を検索できるシステム(以下,検索システムという)を新規に開発した。
検索システムは,検索サーバ 2 台,データベースサーバ 1 台,負荷分散装置(以下,LB という)1 台で構成され,平日の 8 時から 22 時まで稼働する。サーバ機器,LB は M 社が納入し,設定した。また,アプリケーションプログラム(以下,AP という)は,N 社が設計し,製造した。
〔検索サービスの開始〕
情報システム部は,検索システムを研究職員が利用する検索サービスとして提供する。検索サービスのサービスデスク機能は,L 社に外部委託する。また,情報システム部は,M 社にシステム構成機器の管理サービスを,N 社に AP 管理サービスを,それぞれ外部委託し,支援を受けることにした。
情報システム部の IT サービスマネージャである P 氏は,検索サービスの開始に向けて,L 社,M 社及び N 社(以下,それぞれをサプライヤ各社という)と必要となる契約を検討した。また,情報システム部とサービスの顧客である研究部との間で合意するサービスレベル項目とサービスレベル目標を検討した。
P 氏は,研究部に対して検索サービスへの要求事項をヒアリングした。研究部の要求事項は,次のとおりである。
AP の不具合が判明した場合,AP に対する改修を行う。改修スケジュールは改修の規模を踏まえ,情報システム部と調整する。
P 氏は,研究部の要求事項とサプライヤ各社から提示された主な契約事項の案に対して,研究部,サプライヤ各社と調整を行った。特に,M 社とは,(ア)システム構成機器の部品交換に関する契約事項の案についての調整を行った。
P 氏は,サービスレベル項目とサービスレベル目標を検討し,情報システム部と研究部で正式に合意することにした。P 氏が検討したサービスレベル項目とサービスレベル目標は,表 2 のとおりであり,目標の達成状況は月次で集計する。
P 氏は,サービスレベル目標について社内で調整を行い,情報システム部はサプライヤ各社と契約を締結した。また,サプライヤ各社は,各社間で直接契約を締結しないので,P 氏は,サプライヤ各社とのコミュニケーションの方法として,検索サービスに関する変更情報の共有,情報システム部と研究部とのサービスレベル報告会議の議事録の送付,及び情報交換と討論を行う会議(以下,フォーラムという)を行うことにした。