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J社は,全国で電子機器を製造し,販売する電子機器メーカーである。J社の情報システム部は,販売システム(以下,Kシステムという)の開発と運用を行っている。J社の全国の支店には販売部の販売担当者がおり,販売サービス(以下,Kサービスという)を利用して販売活動を行っている。Kサービスは,Kシステムによって実現されている。
情報システム部には,開発課と運用課がある。開発課は,管理者の開発課長及び数名の開発担当者で構成され,主に機能追加などの開発業務を開発計画に基づいて実施している。運用課は,管理者の運用課長及び運用業務の取りまとめを行うL氏がおり,システムの運用を担当する運用チーム及び利用者からの問合せやインシデントの対応を行うサービスデスクがある。サービスデスクは担当者(以下,オペレーターという)の離職率が高く,経験の浅いオペレーターも多い。また,情報システム部は,インシデント管理,問題管理,変更管理などのサービスマネジメント活動ごとに,対応手順を定めている。サービスマネジメント活動全体はL氏が統括している。
Kサービスについて,情報システム部と販売部とは表1に示すSLAを合意している。
| サービスレベル項目 | 目標値 |
|---|---|
| インシデント解決時間 | 重大インシデントは 3 時間以内 |
| 通常インシデントは 8 時間以内 |
今年になって,Kシステムを更改したこともあり,インシデントの発生が多くなっている。先月は,重大インシデントはなかったが,通常インシデントが200件発生した。インシデントの解決時間は最長で7時間40分も掛かっており,SLAの目標値達成が危ぶまれる状況になっている。そこで,通常インシデントの管理について分析することにした。
| 手順 | 活動番号 | 活動の内容 |
|---|---|---|
| 記録・分類 | I11 | インシデントの内容をインシデント管理ファイルに記録する。インシデントには,一意のインシデント番号を付番し,インシデントをあらかじめ決められたカテゴリ(ストレージの障害など)に分類する。 |
| 優先度の割当て | I21 | インシデントに優先度を割り当てる。 |
| 既知の誤りの調査 | I31 | 解決担当者は,既知の誤り1)を調査して回避策を探す。回避策が見つかった場合は,手順“解決”を行う。回避策が見つからなかった場合は,手順“エスカレーション”を行う。 |
| エスカレーション | I41 | アプリケーションプログラム(以下,アプリケーションという)に関係する内容は開発課に,それ以外は運用チームにエスカレーションを行う。エスカレーションの手段として,オペレーターはエスカレーション先に対して電子メールを発信することで対応する。 |
| 解決 | I51 | エスカレーションを行わなかった場合は,解決担当者が見つけた回避策を適用してインシデントを解決する。 |
| I52 | エスカレーションを行った場合は,開発課又は運用チームから提示される回避策を適用してインシデントを解決する。 | |
| 終了 | I61 | インシデントが解決したことを利用者に連絡し,サービスが問題なく利用できることを確認する。 |
| I62 | インシデント管理ファイルの記録を更新し終了する。 |
オペレーターは,手順を効率的に実施するために,ソフトウェアツールとしてインシデント管理システムを使用し,インシデント管理ファイルに対応した内容を登録している。インシデント管理ファイルには,データ項目として,インシデント番号,活動番号,担当者のID,対応日時(開始日時,終了日時),対応内容などがあり,インシデントの活動ごとにデータ項目の内容が記録される。オペレーターは,インシデントの発生を認識した場合,活動番号I11で,“担当者のID”に自らの社員番号を登録する。社員番号が登録されると,インシデント管理システムは“開始日時”を記録する。オペレーターは活動ごとに対応した内容を入力していく。インシデント管理システムはオペレーターの入力と連動して活動の対応日時を記録していく。なお,活動番号I41でエスカレーションを行った場合,オペレーターはI41の終了日時にエスカレーションの電子メールの発信日時を登録する。
サービスデスクからエスカレーションされたインシデントについて,開発課又は運用チームで,再度,回避策が存在するかどうかを詳細に調査する。調査した結果で回避策が見つかった場合は,インシデント管理の解決担当者に回避策の内容を提示する。回避策が見つからなかった場合は,インシデントの原因となる問題を調査する必要があり,問題管理プロセスの手順を実施する。エスカレーション先におけるインシデント管理プロセスの手順を表3に示す。
| 手順 | 活動番号 | 活動の内容 |
|---|---|---|
| インシデントの再調査 | I71 | サービスデスクからエスカレーションされたインシデントを調査する。開発課又は運用チームの担当者は,既知の誤りを調査して回避策を探す。注1)回避策が見つかった場合は,活動番号I72を行う。回避策が見つからなかった場合は,新たな問題として,問題管理プロセスの手順を実施する。 |
| I72 | インシデント管理の解決担当者に回避策の内容を知らせる。 |
| 手順 | 活動番号 | 活動の内容 |
|---|---|---|
| 記録・分類 | P11 | 問題ごとに問題番号を付番し,問題の内容を問題管理ファイルに記録する。エスカレーションされたインシデントとひも付けて問題管理ファイルに記録する。 |
| 調査と診断 | P21 | 開発課又は運用チームの担当者は,自ら回避策を策定する。 |
| P22 | 策定した回避策を,インシデント管理の解決担当者に知らせ,既知の誤りとして問題管理ファイルに記録する。 | |
| 解決 | (省略) | |
| 終了 | (省略) | |

なお,作成に当たっては,あるインシデントで実施した活動番号ごとの実施時間の合計が当該インシデントの解決時間となるように工夫した。具体的には,I11の実施時間はI11の開始日時と終了日時の時間差とし,それ以降の活動番号の実施時間は,一つ前に実施した活動番号の終了日時と当該活動番号の終了日時との時間差とした。
L氏は,図1から,対象の200件のうち,解決担当者が問題管理ファイルから回避策を見つけることができずエスカレーションを行ったものはa件で,全てアプリケーションに関する内容であり,開発課にエスカレーションされていることを把握した。また,開発課にエスカレーションされたもののうち,開発課で回避策が見つからなかったインシデントは,b件であることを把握した。
次に,L氏は図1からインシデント対応には次の三つのパスがあることを確認した。
〔改善活動の実施〕について,L氏が行った改善活動の目的を,Kサービスの提供者の立場から20字以内で答えよ。
〔インシデント対応の分析〕について答えよ。
下線(ア)では,インシデント管理ファイルと問題管理ファイルを使って,業務フロー図を作成する。両ファイルを結び付けるデータ項目を,10字以内で答えよ。
本文中のa,bに入れる適切な数値を整数で答えよ。
下線(イ)について,L氏が優先的に分析すべきと考えた理由を,当該パスの番号を含めて,40字以内で答えよ。
〔改善策の検討〕について答えよ。
下線(ウ)について,インシデント管理ファイルを使って調査する内容を,30字以内で具体的に答えよ。
下線(エ)について,サービスデスクと開発課の活動結果の差異に着目して,課題の内容を,50字以内で具体的に答えよ。
本文中のcに入れる適切な内容を,30字以内で答えよ。